Zen15の建造は最高度の品質を追求

Zen15を建造するJMSハノイ工場は、日系企業である。JMS社長の宮澤道男氏は、ベトナムで日本企業との合弁会社を設立して成功させた先駆者である。現在はHONDAなどの二輪、四輪用のFRP製品を、日本市場で大きく展開している。米国からの受注も、増加している。その品質の高さが、認められたからだろう。社員数は現在80名を超えている。15年以上勤続しているベテランも多い。幹部のベトナム人は、日本語とのバイリンガルだ。

FRP製品の品質は、3つの要素によって決まる。1.FRP型の設計、2.FRP素材の積層工程計画と、3.工程ごとの品質管理だ。しかしそれを実現するのは、腕利きの職人の存在だ。FRP製品は、家具製作や住宅建設と同様に半工業製品なので、職人の技術がFRP製品の品質を左右する。
かって日本の小型船造船所では、FRP職人が活躍していた。各地の造船所を必要に応じて移動する、渡りの職人集団も存在した。しかし家具大工、家大工と同じように、FRP職人はもう成り立たない。生産性が第一となった現場では、職人の技術と気質による品質向上よりは、作業スピードが求められるからだ。作業をただこなすのは、職人の仕事ではない。
本来生産性を担うのは、型の設計と工程計画である。 その上で職人が品質の維持向上に技術を駆使してきた。それが今は逆転している。日本でのFRP製ヨットの建造は、日本のものづくりが衰退するのと同じ背景を持っている。

FRP職人にとって、ヨットをFRPで製作することは、他のFRP製品と比べて特別な課題ではない。1.FRP型の設計、2.FRP素材の積層工程計画については、信天翁24で、青木ヨットがすでに実証済みだ。3.工程ごとの品質管理と職人の技術は、JMSハノイ工場を再三訪れて、その高い水準を青木が自ら確認した。

はっきりと意見を言い、結果を自分の責任と受け止める。誇り高い職人気質も、かっての日本の現場を思い出す。

青木ヨットが世界のセーラーへ、最高のヨットを提供できるのは、このベトナムからだ。そして故横山晃が託したZen15を、世界に問う。それが青木洋のライフワークだ。

JMSハノイ工場のZen15開発チーム、青木の横が宮澤社長、左端がチームリーダーのティンさんと女性副社長のハイさん
チームリーダーのティンさんへ、細部の仕上げを細かく指示する青木
FRP積層作業は、青木ヨットが設定した工程表に従って手順通りに実施する




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