(7)建造を決断する

現在わが国には、外洋ヨットのビルダーは2社しか残っていない。ヤマハや日産などの大手メーカーはヨット事業から撤退した。青木ヨットは残された1社として、Zen24シングルハンド外洋ヨットおよびZen15ツーリングディンギーを、自社でモールド(FRP生産型)を開発して、FRP製のヨットを建造している。

ヨットのモールドを製作する技術を保持しているメーカーは、数少ないのがわが国の現状である。モールドの製作には、まず設計図から原寸大の外形を正確に描き出す原図作業が必要となる。原図は、木造船時代から親方の作業として最も大切な工程であった。そして原図から正確な船型をかたちづくるには、伝統的な木工技術が欠かせない。そのためにはカンナやノミといった手工具の扱いに熟練しなければならない。刃物を研ぐ技術も必要になる。
新しいヨットを開発するには、このような伝統的な木造艇建造技術とともに、FRPの積層工程と、実艇の製作工程を熟知した総合技術が求めらる。

目標の達成には3年が必要だ。意欲の持続とともに資金も必要となるが、Zen30を世に出すことは、人生のテーマであると覚悟を決める。

Zen30

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