Zen15の両面性

それは俊敏さ、そして二枚腰の復原力

むき出しの野生と戦うためには、レーサーを凌駕する俊敏さと、腰砕けにならない二枚腰の復原力が必要となる。一人で乗れるツーリング・ディンギーとして、その相反する両面性能を兼ね備えたのがZen15である。

なぜ俊敏さと二枚腰の復原性という、相反する両面性が必要なのか、それはZen15がセーリングするのは、管理されたレース海面だけではないからだ。
ツーリング・ディンギーはホームゲレンデを遠く離れ、見知らぬ海面でセーリングする宿命を負っている。風が強いときは、出なければよい。そんな甘い期待へ逃げてはならない。クルージングにでかければ、天候急変との待ったなしの戦いが待っている。潮流の中を、目の前に出現する岩を避けながらのセーリング。これらは、スキッパーの技術と度胸を問われる、真剣勝負の戦いとなるであろう。そのとき、名刀のような舵効きを維持するためには、加速性能とスピードポテンシャルが欠かせない。
二枚腰の復原力は、通常のセーリング時は、スキッパーに余裕をもたらす。しかしそれだけではない。本領は吹きつのる風の中で、瞬時にリーフを行うときに発揮される。チンをせずにセーリングを続行するには、10秒以内にリーフをしなければならないからだ。
Zen15は故横山晃が設計したY15-3が原型だ。造波抵抗が極端に少ない、最新の造船工学に基づいた設計を採用している。セーリング・スピードが、レーサーを凌駕するだけではない。ウエザーヘルムも軽いので、スキッパーの疲労を軽減させる。36時間もの長時間セーリングを継続することも可能だ。