信天翁15・クルージング・ディンギー

レーシング・ディンギー

ディンギー・ヨットといえば、レースをするための小型ヨットという考え方が支配的です。国体やオリンピックで使用されている、究極のスポーツ的なヨットが、ディンギーだと思われています。これらのレーシング・ディンギーを操るためには、特別な体力と、厳しい訓練が必要です。
また艤装には複雑なシステムが取り入れられ、セールをコントロールするには、高度な熟練が求められます。

クルージング・ディンギー

しかしディンギーはレースだけではありません。海岸には貸しヨットがありました。琵琶湖では今でも貸しヨット屋さんがあります。貸しヨットに使われているヨットは、シンプルな艤装です。特別な体力がなくても、友人とともに楽しめました。飲み物やお弁当を積んで、デイ・クルージングへ気軽に出かけていました。
一部の人たちは、ディンギーを駆って伊豆諸島を巡り、東京、大阪から九州までもクルージングしていました。これらの航海に使用していたのが、クルージング・ディンギーです。

レーシング・ディンギーとクルージング・ディンギーとは、使う目的が全く違うので、艇の性格や艤装が異なります。しかし最近では、レーシング・ディンギーの需要しか見込めないので、クルージング・ディンギーの生産は行われていません。今では木造艇を自作して、クルージングを楽しんでいる、わずかな愛好家がいるだけとなりました。

AH15は最新のFRPテクノロジー

AH15は故横山晃が設計したY15-3を原型とした、クルージング・ディンギーです。造波抵抗が極端に少ない、最新の造船工学に基づいた設計を採用しています。ウエザーヘルムも軽く、長時間のセーリングを楽しむことができます。
ディンギー・クルージングを手軽に楽しみたいと考え、高価になる木造艇ではなく、最新のFRP技術を駆使して制作致します。

木型の完成が間近だ

札幌の岡本さんを訪ねた

FRPのヨットは、FRPで作ったモールドから、ヨットのハルやデッキを成形する。木型はFRPモールドの原型となるので、寸分狂いのない精度と、波打のない仕上げが要求される。木造ヨットの仕上げとは異なった工作技術が必要だ。

AH15の基本モデルであるY15-Ⅲの木型は札幌の岡本さんが、作ってくれている。岡本さんはこれまで、横山晃設計のディンギーを木造で制作してきた。自分でもY14ディンギーを乗り回していたので、心強い。

Y15-Ⅲは横山晃の最晩年作のディンギーである。シーホース、シード、Y14など一連のサバニ船型ディンギーをさらに発展させた、チョキ船型と呼ぶ得意なハル形状を持つ。レーサーを凌駕するスピード、チンをしにくいハル断面形状、長時間乗れるジャストヘルムな舵効き、これらの特性をを兼ね備え、従来のディンギーの概念を覆す。

キール、チャインの上に外板張り開始

木型制作が進むAHY-15

設計者の意図した性能が引き出せるかどうかは、木型の正確さが左右する。高度な木工技術が求められる。

木型を制作中のAH-15

木型を基にして、FRP用の型を作る。そのため木型には、実艇以上の厳しい精度が求められる。

まず設計図を原寸大に拡大した原図を基にして、フレームを制作する。