長寿命の構造と材質

ヨットは、美しい海がゲレンデのスポーツです。地球環境に無関心ではいられません。ヨットをごみにしたくない。数年で産業廃棄物となるヨットはいらない。大切な人生の財産として子供や、できれば孫にも楽しんでほしい。
FRP製のヨットは、かって宣伝されたように、半永久的に使えるのではありません。一般的には約20年までの寿命です。大量生産、大量消費時代のコンセプトが、従来艇の寿命の背景にあります。

ヨットのFRPを積層する樹脂としては、オルソ系のポリエステル樹脂が、一般的に使われています。しかしオルソ系は紫外線による劣化が早く、樹脂の表面に細かなクラックが生じます。そのクラックからFRPの大敵である水分が、ガラス繊維層に浸入するのです。浸入した水分はオズモシス現象を引き起こし、樹脂とガラス繊維を剥離させていきます。

これらを改善するために、Zen24では下記のFRP構造を採用しました。

AH24のFRP構造
AH24のFRP構造
  1. 艇体とデッキ構造のゲルコート直下にUVカット層を構成し、樹脂層内部への紫外線透過を防御します。
  2. そのために表面を覆うゲルコート層の下に、紫外線遮断ゲルコート層を追加しています。
  3. ゲルコート及び積層樹脂にはオルソ系のポリエステル樹脂にかわり、耐水性の高いイソ系の樹脂を使用しています。
  4. ハル、デッキの切断面は切り放しにせず、ゲルコートを塗布し、水分の浸入を防いでいます。
  5. ハルとデッキをガンネル部上面でボルト接合とせず、フランジ接着構造にし、ボルト穴からの漏水を防ぎやすい構造にしました。